赤ちゃんがやって来てくれたお話(その3)
もう随分と昔のことになります。だからこのお話、ご本人たちの了解を得ていませんがもう時効でしょう。で・・・お話しましょう。
奥様が30代前半、ご主人が20代後半のカップルが当院で安胎(不妊)治療にお越しになりました。奥様の体の冷えが気になりましたが、このカップルの特徴が興味を引きます。ご主人が数歳年下ですが、奥様の方が体格がいいのです。「蚤の夫婦」とまではいかないのですが、奥様の恰幅の良さに比べご主人が貧相に見えました。でもこのご主人、とても甲斐甲斐しく奥様の面倒を見るのです。治療のスケジュールやご自宅でのセルフケアなど細々としたことをきちんとおやりになります。それもとても生き生きと楽しそうになさるのです。びっくりしました。
当時の安胎治療ではみなさんにヒネリモグサ(指先でコヨリを寄るようにモグサをヒネリ、お線香で点火してすえるお灸)を覚えていただき、家で三陰交などにお灸をしていただいていたのですが、奥様が自分でお灸をすえるのではなくほとんどご主人が熱心に楽しそうに奥様にすえるのです。手足のツボにまた腰・背中のツボに本当に丁寧にしっかりとやって見えました。お二人を拝見していると年上の女房をまるで小さな子供に接しているようにご主人が世話をなさっていました。
その甲斐があったのでしょうか、6月初旬に初めてお越しになって8月の末には妊娠のご報告を受けた次第です。そこで考えるのです。赤ちゃんを授かるということは、やはり基本的なことが不可欠なのですね。
ご夫婦が本当に仲が良いということは基本中の基本です。