敷居の高いハリ灸治療

辛くても、ハリ灸と言う言葉は知っていても、やはり鍼灸院に行くのは敷居の高いものです。
その原因は大きく二つです。

まず一つには、未知の東洋医学を利用するにはちょっと怖いと言うのが多くの方の気持ちです。東洋医学やハリ灸と言う言葉は聞いて知ってはいても、具体的な体験談も少ないし、古臭く、薄暗く、ウサン臭い印象が強いのです。ハリ灸院は、保険も利用できないので、儲かる商売ではありませんから、治療院の規模も大きくありません。ですからお金も掛かっていないので見た目の印象が悪く、オンボロでやはりちょっと怖いと言うのはよく分かります。
 わたしが直接受ける電話の向こうから、低いゆっくりとして、かつ、力のない声で「本当に痛くないですか?」とよく聞かれます。当然に、安心して下さいと答えるようにしています。私たちが行うはりきゅうは注射やメスより断然に痛くありません。

 もう一つには、単純に効果を疑っていらっしゃる方も多いのです。「治りますか?」と電話をされる方は良い方で、ほとんどの方が「現代医学でできない事が、東洋医学やハリ灸でできるはずがない」とお思いで、実際にはハリ灸はスルーです。
 この私がこの道に入る前ですからずいぶんと昔の事ですが、ある冬、病院でなかなか治らない病気に罹ったのです。そんな時、母が見かねて鍼灸院へ行こうと誘ってくれました。その誘いに「なんで俺が、ハリ灸なんか受けなければならないのか」と食ってかかったのです。結局、総合病院二箇所、外科二箇所を受診しましたがなかなか改善しませんでした。それで、母の言を受け入れて、近くの鍼灸院を訪ねました。確かに小汚いところでしたが、その効果の凄さにただただ驚くばかりでした。あれ程痛かったのにどんどん痛みは治まり、数日で腫れも引いていくのです。外見も立派な現代医学でお手上げで改善もしなかったものが、何でオンボロの鍼灸院で治っていくのだろうと兎に角不思議で偏見も完全に取れました。私が西洋医学ではなく東洋医学にのめり込むきっかけを作ってくれた貴重な体験です。だから皆さんに言えるのです、東洋医学も決して捨てたものではありませんよと。

自然治癒力を生かした達人の書いた名著

その道の達人        
 知識や情報を得る手段はいろいろです。
テレビやラジオ、新聞に雑誌、今ではインターネットなど数限りがありません。
その中で今回私が取り上げるのは本です。

 近頃、若い方たちの文字離れと言うのが指摘されています。
しかし、その分、若い方たちは別の手段で知識や情報を手に入れているのです。
また、文字離れは何も若い方たちの専売ではありません。
私など近頃では、目が不自由になり、本を読むのが面倒になってきているのも事実です。
だから、年寄りも文字離れが進んでいるのではないかと思いますよ。

 今回の達人の一冊は、アリゾナ大学医学部教授、アンドリュー・ワイル博士の「癒す心、治る力」です。
自然治癒力の権威で、現代の医療の欠点を鋭く分析し、批判されています。

しかし、この本を手にとって読むのは何度目でしょう。
そして毎回新鮮な情報を得るのです。

書く人が達人であれば、書いてあることは同じなのに、読み手の技量に合わせて得られる情報は深みを増すのですね。
不思議です。

だから同じ本を読むにしても、得る情報の質は皆、同じではないのですね。
発信する人の技量によってその情報の質が薄っぺらなものかどうかは、読み返すと良く判るのです。
また、過去の私が如何に見識の薄かったのか、毎回嫌という程、指摘されます。
反対に、少しずつではありますが、私も進歩しているのが確信されると、チョッとホッとするのですね。

ネットで電子書籍でも手にはいます。
若い方にも是非読んでいただきたい名